ゴー宣DOJO

BLOGブログ
高森明勅
2010.9.8 13:39

ブログに熱中、鞄を忘れた!

お気に入りの鞄を無くした。ブログのせいで。顛末はこうだ。

始発の駅で電車を待つ寸暇を惜しんで、ベンチでブログを打ち始めた(我ながら感心感心)。

その時、持っていたのは愛用の鞄と、出先での頂き物。私は、自慢ではないが、普段から忘れ物、紛失物がやたらに多い(確かに自慢出来ることじゃない)。

そのことは、自分でも薄々気が付いていて(薄々かよ!って、家内あたりから突っ込まれそうだが)、実はこの日も警戒していた。

過去の夥しい事例から帰納すると、この時のように、我が家を出る際に持っていなかった物を、途中で忘れる場合が最も多い。

その度に、これまで殆ど人生を生きて行くのが嫌になるくらい、家内から徹底的に絞り上げられて来た。

そこで、さすがの私も多少、用心するようになっている。

だから、頂き物については、ブログを打ち込みながらも、注意は怠らなかった(これも感心)。

待っていた電車が来たので、それに乗り、暫く作業を続けた。

何駅か過ぎて、打ち終わったので、珍しく持ち物をチェックした(これもー)。

例の頂き物はちゃんとあった。やれやれ、これで家内から大目玉を喰らわずに済む。

と安堵したのも束の間、何と鞄の方が無くなっているではないか!その瞬間、私の頭の中で、家内の鬼の形相が超ドアップで現れたのは言うまでもない(って、言わなきゃ分からないか)。

確かに、長年使いなれた愛用の鞄を無くすのは残念だ。

しかも、その鞄には年末までのスケジュールを書き込み、様々な連絡先も詰まった手帳が入っている(ちなみに私は完全無欠のアナログ人間)。

さらに、なかなか再入手が難しい貴重な本も、何冊か入れていた。

それらが一挙に失なわれるのは正直、かなりの痛手だ。

だが、それより何より家内に叱られる方が、遥かに苦痛。

で、大慌てで記憶をたどる。

でも、どこで無くしたか、全く思い出せない(初めから気付いていないんだから当然か)。

とにかく直ちに下車して、駅員に訴えた。

駅員は機敏かつ誠実に対応してくれる。

しかし一番、可能性が高かった始発駅にはナシ。

妄想の中の家内の顔がさらに巨大化する。

すっかりショゲ返っていると、「それらしい鞄が〇〇駅に届いています」とのこと。

藁にもすがる思いで、その駅に急行。

駅員がカウンターで別の客の応対をしているのを、ジリジリしながら待つ。

と、カウンターから少し離れた位置にもう1人、客が。

でも、並んでいる風でもないし。

先客なのか微妙な感じ。

なので、申し訳ないが、さきに駅員に要件を伝えさせて貰った。

予め鞄の特徴や中身についても喋る。

結果、紛れもなく私の鞄だった。

おー、何とありがたい!駅員に繰り返しお礼を述べた。

先ほどの客は、そんな私の様子を心なしか、微笑ましく見ている気配。

不思議に思って、すぐその場を離れず、その客の様子を見ていると、彼は駅の構内か車内で、誰かの忘れ物を見つけ、駅員に届けに来ていたのだ。

瞬間、私の鞄を届けてくれた、誰とも知らぬ人物に重なり、私は思わず、その客に合掌したい気持ちになった。

帰宅後、そんな顛末を家内には一言も喋らなかったのは、言うまでもない。

ブログも、これからは場所を選んでやろう。

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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